サッカー日本代表戦を見て思うこと
先日約1年ぶりにサッカー日本代表サムライブルーの国際親善試合が開催されました。
地上波でサッカーを見る機会もかなり減って来ている昨今、サッカー日本代表の試合はコアなサッカーファンから、ライト層まで多くの人がサッカーに触れる貴重な機会です。また世界的パンデミックの影響でサッカーはもちろん殆どのスポーツ、イベントが中止や延期になる中、先日のカメルーン戦はサッカーファンにとっては待ちに待ったイベントでした。
プレーもほとんどすることが無くなり、サッカーを外から見て楽しむことがほとんどになってから久しいですが、試合を見て思うことがたくさんあったので、口うるさいサッカー大好きおじさんの仲間入りに向けて、久しぶりにブログを更新することにしました。
結果は0-0のスコアレスドロー。
点が入らないという結果以上に色々残念な結果でした。職場で翌朝話した上司も「睡眠時間返せ!(笑)」なんてコメントしてました。
1.夢?の日本代表
今回の日本代表メンバーは歴史上初めてオール欧州組という編成でした。僕がサッカーを始めた頃は、海外組は中田英寿のみなんて時もありましたし、名実共に世界一と呼ばれるリバプール所属の南野、バルサ育ちレアル在籍ビジャレアルレンタルという夢の詰まった経歴をしている久保。20年前のサッカーファンにこの事実だけを伝えたら、
「2020年ぐらいの日本代表は世界でもトップレベルなんじゃね?!」
ってすごく期待されてたかもしれませんね。
実際南野は試合を通して存在感がほとんどなく、ザルツブルク時代の輝きにも及ばず。久保は途中出場でミスパスが目立ち、以前のキレはありませんでした。レギュラーを掴めない状況は所属クラブにおいても同じです。
欧州組揃いの夢の日本代表とは名ばかりで、タレントを生かせないチームの現状に不安を覚えてしまいます。
2.森保JAPANの戦い方とテンプレートインタビュー
そしてSNSやサッカーメディアでも賛否両論の森保監督。否定的な論調がより目につく印象は否めませんが、今回も攻守ともに狙いの見えないプレーに終始した感がありました。
僕は1度でいいからあのメモの中身が見たい(笑)
欧州組だからすごいと言うのは些か安易かもしれないですが、日常的にヨーロッパのトップレベルでプレーする選手が選ばれるのが当たり前になった日本代表においても、特にチームとしての進化が見られないイメージが強いです。
試合開始直後こそ、ボールを奪われた後の素早いプレッシングに勢いがあり、相手を苦しめる場面がありましたが、それも「身体能力はすごいけど、組織がバラバラ」と言われて久しい(ていうか今回の試合でも解説の都並さんはずっとそー言ってた)アフリカ勢のカメルーンに対して一試合を通して有効とは全く言えませんでした。
球際でガチャガチャすると手足の長いカメルーンにしっかりボールが行くし、それ以前に攻守でしっかりと配置を変え、デザインされたカメルーンのビルドアップに普通に外されてました。
日本代表のプレッシングは
「とられたらとりかえす!」
「ハードワーク!」
「アグレッシブ!」
以外特に狙いが見えなかった印象。
CB→SBへのパス、ボランチへの楔
など相手のビルドアップに対して明確なトリガーや原則は見えませんでした。
攻撃においても、イージーミスが目立つ上に、ボールを奪った後のアクションが極端に少なく、守備陣形のまま立ち止まった味方にパスコースを見つけられない冨安が前線へロングボール→跳ね返されるという場面も散見されました。
痺れを切らせた柴崎が低いポジションでボールを受けて強引な縦パスをカットされるという悪循環も森保JAPANの試合ではよく見られる光景。ゴールキーパーがビルドアップに参加して平気で縦パスを通す時代にこれではなかなか戦えないかと。
後半はスピードでアフリカ勢とも渡りあえることを示した伊東の奮闘で何度がチャンスを作ることが出来ていましたが、それ以外のアプローチではほとんどチャンスがありませんでした。
攻、守、攻→守、守→攻どの場面においても明確なプレー原則が見えず、再現性のない日本代表のサッカーはやっぱり見ていて面白くない、退屈だと思ってしまいました。
今やアフリカのチームでもヨーロッパでスタンダードとなりつつある戦術を選択して戦ってきます。後方からのビルドアップにゴールキーパーを組み込み、攻守で異なる配置と明確なプレー原則を設定して組織として機能しています。今回のカメルーンもミスはあるものの、ビルドアップにおいて特に再現性の高いプレーをしていました。
お決まりの森保監督の試合後のインタビューは、録画かな?(笑)と思うぐらいテンプレートコメントを繰り返すといった様相。(笑)
準備、成長、闘う、アグレッシブ、ハードワークなどなど聞き慣れた言葉が飛び交うインタビューに毎回残念な気持ちになります(笑)
もちろん現場レベルではもっと具体的な指示や戦術的分析がなされていると思いますが、もうワンパターンのコメントに皆さんも飽きてきているのではないでしょうか。(笑)
喝!!(笑)
3.日本らしいサッカーとは
テレビの解説の人も、森保さんも、サッカー協会のお偉いさんもよく口にする言葉、
「日本らしいサッカー」
「日本の良さ」
オシム監督が日本代表に就任した頃、頻りに使われていたフレーズです。ロシアW杯直前にハリルホジッチ監督を電撃解任し、西野朗技術委員長のもとでベスト16という結果を得ることが出来ました。その後久しぶりの日本人監督である森保さんが後任となった今の日本代表は日本人による日本人のための日本らしいサッカーを目指してオールJAPANで戦います!とざっくりこんな感じ。スタッフも確か全員日本人だったかなと。
最大の問題点はたぶん未だに「日本らしいサッカー」が定義できていない事です。
これが一応JFAが日本代表のアイデンティティとして示しているものです。対外的に表記しているものだからか、なにかと耳障りの良いフレーズが並んでいます。アイデンティティというよりは心構え的な感じかなと。どのチームにおいても必要なことのように感じてしまいます。具体性に乏し印象は否めません。
規律をよく守り、組織力が高い。
よく日本を褒める時に使うフレーズですが、残念ながらそのストロングポイントをピッチで表現する術が今の日本代表には無いように思います。
ほんまにこれ。日本の組織力の自負そろそろ辞めよう。ただの同調と組織力はちがう。 https://t.co/wsCMpRXWJL
— そちったー。 (@SochiShu) 2020年10月9日
サッカーとはどういうスポーツで、
日本の国民性はこうで、
身体的に優れている点は何で
精神的に優れている点は何で
だからこういう戦い方ができる。
と具体的に言語化し、トッププロから公園で遊んでいるサッカー少年まで口を揃えて同じことが言えるようになるのが個人的な理想です。そして過剰にも思える選手委任的な戦い方を見直して、明確なゲームプランとプレー原則をもって試合をしてほしいです。トレーニング時間が短いので難しいことはよく分かるのですが、他の国にできて日本に出来ないことは無いはずです。
4.サッカーを伝える側の問題
冒頭で地上波でサッカーを見られる機会が少なくなっていることについて言及しましたが、サッカーを伝えるメディアにも日本の問題点を感じました。
今やしっかりサッカーを見たい人のほとんどはDAZNやスカパーなどの専門チャンネルにその機会を求めています。
専門チャンネルだけあって、解説や実況者の方も深く入り込んだコメントをしますし、元日本代表の戸田さんなんかはYouTubeチャンネルでビッグマッチの戦術分析を公開したり、試合中のコメントも鋭くかつ早く、かつ正確。試合前の取材なんかもかなり時間をかけてされてるんだろうなと思います。
「今〇〇はマンマークに移行しましたね」
「DFラインの間に〇〇が落ちてきて、ビルドアップの際に数的優位を確保しています。」
「〇〇はボランチのコースを消しながらCBにミドルプレス」
見ている人がピッチで起こっていることを理解しやすいように分かりやすく解説してくれます。
そして今回のカメルーン戦の解説は元日本代表の都並敏史さん。もうだいぶお馴染みになった解説者ですね。そしてゲスト解説には現役Jリーガーの大久保嘉人選手、副音声ゲストにはお笑い第7世代今をときめくEXIT。
まず、都並敏史さんですが、カメルーン戦のコメントで印象的なのは
「アフリカのチームは先に点取られるとバラバラになって組織が乱れますから!」
「カメルーンの特徴はやっぱり手足の長さと身体能力ですよね!」
僕は理学療法士として日々働いているので、よく高齢者の方とサッカーの話で盛り上がったりします。
「サッカー選手はすごいなぁ、走って走ってして、ほなけんど外国の選手のあの大きいて脚の速いんはごついなー。あないされたら日本人やどなんもならんわ。」
正直都並さんの話している内容はこれと大差無いと思います。見れば分かることを話すのであれば解説なんて必要がないかと。
アフリカの選手が身体能力に優れているのはサッカー選手に限らず民族レベルでの常識です。サッカーを知らない人でもそれぐらいは知っています。
そして、事前に情報が無いとしても、試合開始から明らかにカメルーン代表のプレーは身体能力だけのイケイケサッカーでは無いことは明白でした。代表メンバーの主力が最先端の欧州リーグでプレーしているのはカメルーンも同じです。
そして日本代表はついこの間のロシアW杯で開始早々から10人になったコロンビアの緻密な戦術と組織的守備に苦しめられたばかりです。
南米のチームもよく日本の解説者は個人プレーに走る傾向があると話します。繰り返しますが、その南米のチームの10人の選手たちの頑張りに苦しめられたばかりです。
そして副音声のEXIT。
サッカーを知らない人の興味を誘うには持ってこいの視聴率要員。
「にわかファン代表として頑張ります!」
かねち〜のノリとコメント力はさすがです(笑)
誰もが知るキャッチーなキャラクターを活かした人選とは思いますが、こんなやり方でサッカーに人を呼び込む段階はもう終わっていると個人的には考えています。(※EXITは大好きです。彼らは何も悪くありません。笑)
日本のサッカー人口はスポーツの中でトップの約630万人。
2番目に多い体操と比較しても約100万人近く多い計算になります。
もはやサッカーを「認知させていく」段階はとっくに終わっています。
いくら専門チャンネルがあると言っても、立派な文化としてサッカーを日本国民に浸透させていくために地上波のTV放送はもっと尽力出来ることがあるのではないでしょうか。日本代表の試合はどう考えても1番サッカーファンが見ているイベントであることに変わりはないし、本当の意味でサッカーというスポーツを国民のものにするためにはあの内容では物足りないです。
サッカーをもう少し踏み込んだ視点から視聴者にお届けしてして欲しいなと思います。
いつか日本のサッカーがW杯で世界一になるように!
長々とえらそうにただのサッカー大好きおじさんが書きましたが、素直な気持ちでございます。
この記事を書いた日、久しぶりにサッカーの試合に出場しましたが、ファーストプレーで膝を負傷し、前半で死にました(笑)
そんなサッカー大好きおじさんの独り言でした。